ハエ目ニセケバエ科(学名:Scatopsidae)

ニセケバエ科は体長3mmくらい、体色は黒く、体形は寸胴、触角は短く棍棒状のハエの仲間です。翅脈は特徴的で、翅の前方部の脈(前縁脈とR1およびR4+5)は明瞭ですが、その他は不明瞭です。このため一見すると、翅は翅脈がなく透明に見えます。
これらの特徴より、ニセケバエ科はハエ目の中でも比較的同定しやすい科です。幼虫は各種の腐敗物・キノコ・糞などで発生し、成虫は普通、これらの付近でよく見られます。幼虫の食性のためか、缶詰工場やビール・ワインの醸造場周辺で大発生することがあるようです。屋内に侵入することもしばしばで、トイレの窓や台所の周辺などに集まります。
ニセケバエ科の生活史の一例として、ナガサキニセケバエScatopse fuscipes Meigenを挙げておきます。25℃の室温条件下で、卵3日、幼虫12日、蛹4日を経て成虫になります。当然、餌の多少によって、これらの期間は左右されます。成虫の寿命は1.5日くらいで、雌は200~300個の卵を産みます。